【ヴィッセル神戸・聖地巡礼】サポーターなら一度は訪れたい「メリケンパーク」|歓喜の優勝報告会と、クラブの原点である“震災の記憶”

兵庫県神戸市をホームタウンとするJリーグの雄、ヴィッセル神戸。近年では悲願のJ1優勝や天皇杯の優勝を成し遂げ、アジアの舞台でも躍進を続けるなど、いまや日本屈指の強豪クラブとしての地位を確立しています。

そんなヴィッセル神戸のサポーター(トモニイコウを合言葉に戦う仲間たち)にとって、試合が開催される「ノエビアスタジアム神戸(御崎公園球技場)」が最大の聖地であることは言うまでもありません。しかし、神戸の街中にも、クラブの歴史、そしてアイデンティティと深く結びついた重要なスポットが存在します。

それが、神戸ハーバーランドエリアのすぐ隣に位置するウォーターフロントの象徴「メリケンパーク」です。

一見すると、美しい海と爽やかな潮風、そしてモダンな建造物が立ち並ぶおしゃれな観光地に思えるかもしれません。しかしこの場所は、ヴィッセル神戸が歴史的な栄冠を勝ち取った「歓喜の舞台」であり、同時にクラブの誕生と深く関わる「震災の記憶」をいまに伝える場所でもあるのです。

今回は、ヴィッセル神戸サポーターの視点から、メリケンパークが持つ特別な意味を紐解き、聖地巡礼の際の見どころを徹底的に解説します。

1. メリケンパークとは? 神戸の海の玄関口の基本情報

まずは、メリケンパークがどのような場所なのか、その概要をおさらいしておきましょう。

メリケンパークは、神戸港開港120周年を記念して、1987年(昭和62年)に「メリケン波止場」と「中突堤」の間を埋め立てて造成された臨海公園です。神戸のランドマークとして名高い「神戸ポートタワー」や、波をモチーフにした斬新な外観の「神戸海洋博物館」が隣接しており、誰もが一度は写真で見かけたことがある“これぞ神戸”という景観が広がっています。

2017年には大幅なリニューアルが行われ、広大な芝生広場や、SNS映えするスポットとして大人気の「BE KOBE」モニュメントなどが整備されました。

サポーターにとっては、スタジアムへ向かう前、あるいは試合のない週末にふらりと訪れ、神戸の風を感じながらクラブの歴史に思いを馳せるのに最高のロケーションとなっています。

2. 歓喜の記憶:数々の歴史的タイトルを祝った「優勝報告会」の舞台

メリケンパークがサポーターにとって「特別な歓喜の場所」として刻まれたのは、クラブの歴史が大きく動いた瞬間でした。広大な敷地を持つこの公園は、ヴィッセル神戸が獲得した主要タイトルの「優勝報告会(祝う会)」が開催される定番の舞台となっています。

これまでに行われた感動的なイベントを振り返ってみましょう。

① 2020年1月2日:悲願の初タイトル「天皇杯優勝報告会」

ヴィッセル神戸にとっての記念すべきクラブ初タイトルは、2020年1月1日に新国立競技場で開催された「第99回天皇杯全日本サッカー選手権大会」でした。鹿島アントラーズを2-0で下し、クラブ創設25年目にして初の王座に就いたのです。

その興奮が冷めやらぬ翌日の1月2日、選手・スタッフ一行はすぐさま神戸へと凱旋し、メリケンパークにて優勝報告会が開催されました。

お正月早々、そして急な告知であったにもかかわらず、会場のメリケンパークには約10,000人ものサポーターが詰めかけました。当時のキャプテンであったアンドレス・イニエスタ選手や、この試合を最後に現役を引退したダビド・ビジャ選手らがステージに登壇し、神戸の青空のもとで天皇杯(天皇杯ぶら下がり銀杯)を掲げた瞬間、地鳴りのような大歓声がパーク中に響き渡りました。長年、苦しい時期をトモニ戦ってきたサポーターにとって、メリケンパークの海風とともに味わったあの感動は、今でも忘れられない記憶となっています。

② 2023年12月3日:悲願の頂点「J1リーグ優勝を祝う会」

さらに、クラブの歴史の最高到達点となったのが、2023年の明治安田生命J1リーグでの初優勝です。シーズンを通じて圧倒的な強さと勝負強さを見せつけ、悲願のJ1リーグ王者に輝いたヴィッセル神戸は、再びこのメリケンパークを歓喜の渦に巻き込みました。

12月3日の夜に開催された「ヴィッセル神戸J1リーグ優勝を祝う会2023」では、夜のメリケンパーク特設ステージがクリムゾンレッド(クラブカラー)のライトやサポーターの手にするグッズで染まりました。

リーグ戦を戦い抜いた全選手、吉田孝行監督、スタッフが登壇し、ついに神戸の街に「シャーレ(優勝銀皿)」がお披露目されたのです。夜の神戸港、ライトアップされたポートタワーを背景に、選手とサポーターが一体となって「神戸讃歌」を響かせたあの夜は、メリケンパークというオープンな空間だからこそ実現した、街全体で勝ち取った栄光の象徴でした。

このように、メリケンパークはヴィッセル神戸の「黄金期の記憶」がダイレクトに染み込んだ、まさにファン・サポーターの誇りが集う場所なのです。

3. クラブの原点と魂:阪神・淡路大震災の記憶を伝える場所

メリケンパークを訪れる際、サポーターとして絶対に素通りしてはならない、もう一つの非常に重要な側面があります。それが、「阪神・淡路大震災の記憶」です。

ヴィッセル神戸というクラブを語る上で、「震災」は切り離すことのできない絶対的な原点です。そして、メリケンパークの東側岸壁には、当時の激しい揺れと被害の大きさを生々しく伝える遺構「神戸港震災メモリアルパーク」が残されています。

ヴィッセル神戸の誕生と「1995年1月17日」

ヴィッセル神戸は、1995年シーズンからのJリーグ参入(当時はJFLからの昇格を目指す形)を目指し、まさに「これから始動する」というその矢先に、運命の日を迎えました。

1995年1月17日午前5時46分。阪神・淡路大震災が発生し、神戸の街は一瞬にして壊滅的な被害を受けました。ヴィッセル神戸の選手たちが、神戸での初練習を行う予定だったまさにその当日の出来事でした。

当時の運営会社は被災し、スポンサーの撤退も相次ぎ、一時は「チーム解散」「始動断念」の危機に追い込まれました。しかし、「こんな時だからこそ、神戸にサッカーの灯を消してはならない」「スポーツの力で市民を元気づけよう」という関係者の執念と市民の声に後押しされ、クラブは活動継続を決意。

白を基調としていたチームカラーを、当時の「黒(喪に服す、そしてそこからの復興)」のボーダーへと変更し、プレハブ小屋からのリスタートを切ったのです。

メモリアルパークが伝える「あの日の爪痕」

メリケンパーク内にある「神戸港震災メモリアルパーク」では、被災したメリケン波止場の岸壁(約60メートル)が、当時のまま手を加えられずに保存されています。

大きく地割れし、海中へと崩落したコンクリートの塊。激しい揺れによって斜めに大きく傾いたままの赤茶けた街灯。これらは、テレビの画面や教科書の文字だけでは決して伝わらない、大地震の凄まじいエネルギーを視覚的に伝えています。

2025年1月には、震災30年を迎えるにあたってこのメモリアルパークの展示内容が全面的にリニューアルされました。老朽化したパネルが一新されただけでなく、スマートフォンを使ったAR(拡張現実)コンテンツ「タイムスコープ」が導入され、目の前の景色に震災直後の被災状況を重ね合わせて見比べることができるなど、デジタル技術を用いた先進的な震災学習の場へと進化を遂げています。

サポーターが歌う「神戸讃歌」の重み

ヴィッセル神戸のサポーターが、試合前後に必ず歌うクラブアンセム『神戸讃歌』。

「俺たちのこの街に お前が生まれたあの日から どんな時もトモニ歩んだ 震えるこの胸の熱さ」

この歌詞にある「あの日」とは、クラブが産声を上げた日であると同時に、震災によって街が傷ついた日をも指しています。

メリケンパークで崩れた岸壁を見つめ、潮風に吹かれていると、この『神戸讃歌』のメロディが頭の中に流れてきます。私たちが今、満員のスタジアムで華やかなサッカーを楽しみ、優勝に歓喜できているのは、あの絶望的な状況から立ち上がり、クラブを支え、街を復興させてきた先人たちの計り知れない努力があったからに他なりません。

メリケンパークの震災遺構は、サポーターに対して「ヴィッセル神戸は、ただのサッカークラブではなく、この街の復興のシンボルなのだ」という誇りと、感謝の念を思い出させてくれる神聖な場所なのです。

4. サポーター向け:メリケンパーク〜ハーバーランド巡礼おすすめルート

実際にメリケンパークを訪れ、ヴィッセル神戸の歴史の深さに触れるための、おすすめの散策ルートをご紹介します。アウェイサポーターの方が神戸遠征に来られた際の観光コースとしても最適です。

巡礼ルートの概要

ステップ スポット名 見どころ・サポーター的チェックポイント
1 神戸港震災メモリアルパーク クラブの原点である震災の遺構を見学。リニューアルされた展示を体験。
2 BE KOBE モニュメント 神戸の街への愛を誓う定番スポット。クリムゾンレッドのグッズを持って記念撮影。
3 芝生広場(ステージ周辺) 天皇杯(2020年)、J1リーグ(2023年)の優勝報告会が行われた歓喜の地を踏みしめる。
4 神戸ポートタワー 展望フロアから神戸の街と海を一望。夜は美しくライトアップされます。
5 ハーバーランド(高浜岸壁) メリケンパークから徒歩移動。対岸からパークの全景を眺めながら、カフェやショッピングを楽しむ。

巡礼をもっと楽しむためのコツ

  • ユニフォームやグッズを持参する: 「BE KOBE」モニュメントの前での記念撮影は、ヴィッセルのユニフォームを着用するか、タオマフ(タオルマフラー)を掲げるのがサポーターの定番スタイル。青い海と白い文字、そしてクリムゾンレッドのコントラストが最高に映えます。

  • 夕方から夜にかけての時間帯がおすすめ: メリケンパークの魅力が最も引き立つのは、夕暮れ時から夜にかけてです。海が茜色に染まるマジックアワーを堪能した後は、ポートタワーや海洋博物館、そして対岸のハーバーランド観覧車がライトアップされ、息をのむほど美しい夜景が広がります。2023年の優勝報告会の夜の熱気をシミュレーションしながら歩いてみてください。

5. まとめ:歓喜と祈りが交差する、神戸サポーターの「心の港」

ハーバーランドのすぐ隣、メリケンパーク。ここは単なる美しくモダンな観光地ではありません。

そこには、日本一に輝いた選手たちとサポーターが弾けさせた「最高の笑顔と歓喜の記憶」があり、そのすぐ目と鼻の先には、すべての土台となった「震災の爪痕と復興への祈り」が静かに佇んでいます。

悲劇を乗り越え、市民とともに歩み、ついに日本の頂点へと上り詰めたヴィッセル神戸のストーリーそのものが、このひとつの公園の中に凝縮されていると言っても過言ではありません。

「どんな時もトモニ歩んだ」

その言葉の真意を五感で理解し、クラブへの愛をさらに深めるために。次の週末や試合の前日には、ぜひクリーズンレッドの心を胸に、メリケンパークの潮風に吹かれに行ってみてはいかがでしょうか。そこには、あなたが応援するクラブの「魂」が、今も確かに息づいています。

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